SNSのプロモーションで流れてきた、「服が3分で急速に乾く」という触れ込みの乾燥機能付きハンガーを買った。
代引きで7,546円。
でも開けてみたら信じられない超粗悪品だったからカネ返せってクレームを出し、結局は消費者センターを巻き込んで全額返金させた話。
すごくつらかった。
この広告を見たところから全ては始まった。
ちょっと前に同じ様にSNSで流れてきたプロモで、コーヒー豆を入れるキャニスターを買ったら、高かったけどモノはよかったので、疑うことなくこの乾燥機つきハンガーを買ってしまった。
7,546円の価値があると思った。
で、これが届いた商品の様子。
わかるだろうか。
服を3分で乾かす強力な温風などとは程遠く、そのへんの激安銭湯のドライヤーよりも情けない風が「なんとなーく」出てくる程度。
この性能に7,546円出さないでしょ。
優良誤認だ、全額返してもらおう、と思ったのが今回の話。
まず広告の「特商法に基づく表記」のページを見るも、企業名が載っていない。
電話番号もない。代表者の名前もない。
いいのか?
ギリギリ「返品はこちら」というメールアドレスが載っていたのでメールしてみた。
こちらから送ったメールがこれ。この広告を見て、服が3分で乾くと思ったので購入しましたが、
実際の商品は、かすかに温風が出る程度のものであって、広告の性能を満たすものではありませんでした。
つきましては、返品を希望します。
送料は貴社にて負担願います。
商品を発送するため、貴社の名称と所在地をご教示ください。
よろしくお願いいたします。
そして二週間くらい経ってようやく相手から届いたメールがこちら。尊敬するお客様、同僚から連絡をもらいました。今あなたの問題を解決します。あなたの問題を教えてください。解決してあげます。あなたの返信を楽しみにしています。よろしくお願いします。
tjmkobe@yahoo.com
送ったメアドと違うところから返ってきた。
tjmkobe って何だろう。
ぐぐってみたらまあ出るわ出るわ被害にあった人たちの投稿が。
間違いなく中華企業。
よく見たら箱についていた送付状に載っていたメアドだ。
tjmkobe@yahoo.com Facebook
相手方からは「銀行の口座を教えてください、あと、送料はお客様負担です」という意味のメールが来たので、普段使わない口座を一個教えた上で、言い争いが続いた。
メールのラリーは何度か続き、
私「実際の商品が広告の性能をまるで満たしていなかった、優良誤認だから送料や手数料など全額を返金しろ、商品を送るから企業名と所在地を教えろ」
チャイ「性能の問題ではない、送料と手数料は返さない、それに同意すれば佐川を手配する」
私「企業名と所在地を教えろ」
チャイ「送料1500円は返さないことに同意しろ」
私「同意しないけど名称と所在地を教えろ」
の繰り返し。
相手からのメールをいくつか紹介すると、
尊敬するお客様、返信ありがとうございます。品質の問題ではないです。こちらは手数料と運賃がかかりますよ。
尊敬するお客様、返信ありがとうございます。すみません、品質の問題ではありません。私達は運賃を取ります。ご了承ください。
お前これわざと煽ってるだろ。
時はこのやり取りと並行して、裏では初めて消費者センターにも相談していた。
始めは電話で被害の状況を説明し、その次に窓口に実際の商品を見せに行く流れだった。
このご時世になんと、消費者センターは電話しか窓口がない。
メールでやり取りができないから、始めにプロモーションを見つけたサイトのURLをアルファベット一文字ずつ伝えるような世界。
伝え終わった後は、消費者センターにあるというPCでその広告を見てもらうことはできたのだけど、セキュリティーに引っかかって、閲覧不能なサイトが沢山あるそうだ。
色々だめだろ。
今回のように、相手企業がメールアドレスしか明かしていない場合は、消費者センターからはコンタクトが取れないので、消費者センターからは運送業者である佐川に連絡を取ってもらった。
佐川側としても「守秘義務があるので」ということで、簡単には相手の企業名や所在地を答えなかった。
今回消費者センターを使うまでは、センターは行政指導などを行う強い組織だと思っていたのだけど、実際は一切そんなことはなく、電話で企業とゴネることができるだけの組織。
消費者センターで、「相手の名前と場所がわかれば少額訴訟を起こしてサクッと終わらせたい」と私が言ったら、「私達は両者の間に入って話し合いを取り持つところなので、訴訟はおすすめできない」みたいなことを言っていた。
結局、中華業者とのメールのやり取りは暗礁に乗り上げていたのだけど、消費者センターからは佐川経由で、中華業者に返金をするようにプッシュしてくれていたみたい。
先日消費者センターから電話があって、「その後どうですか?佐川が言うには、業者は返金したって言ってますけど」と言われ、確認したところ数日前にこちらの希望通り全額が返金されていたところ。
まだ商品返してないのに。
今回の相手は、検索したらいくらでも悪名がヒットするので、佐川としても知らないってことはないと思う。
でも佐川からしたらたとえそれが悪事であってもカネを落とす顧客である以上守りたかったんじゃないかなと私は推測している。
でも、
佐「消費者センターから連絡きたから流石に今回は返金して」
チャイ「今回は仕方ないアルね」
みたいなやり取りがあったのだろうか。
「消費者センター」の名は一応知らない人には強いのかもしれない。
しかし彼らが消費者センターの威力を知らないということもない気もするし。
なぞは深まる。
それにしても全額返ってきたのは予想外だった。
相手にどのような心情の変化があったのだろう。
うちの住所知ってるからヤ様とか派遣されるのかな。いやだな。
そしてもう一つ気になるのが、この悪徳広告がまだ表示されているということ。
URLを叩くと平気な顔して表示される。
同じく被害に合う人が今この瞬間にも生まれるリスクが続いている。
刑事的な問題はないのだろうか。
人を欺く意志を感じる。法定で検察が立証できるかは別問題だけど、刑法246条1項人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
これに抵触すると思うのだけど。
実は消費者庁にも通報済み(これも今回知ったのだけど、消費者センターと消費者庁は別の組織。前者は区が運営しているもの。)なのに、指導は入らないのだろうか。
メールアドレスしか窓口がないから、消費者庁も連絡取れないんじゃないだろうか。
省庁のIT化が加速してほしい。
SNSも、こういう業者がプロモーションを打っていることがわかったら表示を停止してほしいな。